演技





















「まったく・・・白々しい・・・」







「ゴメンって・・」







「謝れば済むと思ってる・・・」







「だから・・・反省してるってば・・・」







「嘘つきは、殺人の始まりって言うだろ?」







「え?ドロボーじゃなかったっけ?」









「最近のドロボーは、殺人するんだ」







「あ・・・なるほどね・・・」

















今日は忙しいから、会えないよ・・・

と言う不二に電話を入れて





「なんかさ・・・熱が出てるみたいなんだよね・・・

朝から、食欲もなくってさ・・・」





と、迫真の演技で千石が迫り、





慌てた不二が、部活を早引けして、駆けつけての出来事・・・











「ホント・・・君の演技に騙された・・・」

ムッとして不二が言う





「ほんとにごめんってば・・・」

小さく、か細く、千石が項垂れた・・・





「まさか・・・それも演技とか言うなよな・・・」

不二は、ギロリと千石を睨みつける。





「違うよ・・・」





「一度やるとね・・・信用してもらえなくなるんだ。狼少年みたいに・・・」

子供じゃないんだから、それくらいわかるだろ?と不二が、

追い討ちをかけるように言った。





「ほんとに・・・もうしないから・・・勘弁してよ・・」

拝むように謝る千石に、





「はぁ・・」と溜息をついて、不二が言った。





「どうして、そんな姑息なことするかな?」





「だってさ・・・不二にずっと俺のこと見てて欲しいから・・・」

心底、まいったように千石が呟いた。

そこから染み出る気持ちと、反省しているのが、不二にも手に取るように分かる。





「二度目はないよ・・・」

諦めをこめたような口調で、不二が言った。





「分かってる・・・」





「ほんとに分かってる?」





「うん・・・不二に愛想つかされたくないからさ・・・」





「じゃぁさ・・・もう絶対に嘘ついたり、演技したりしないって約束だ」





「うん・・・約束する・・・絶対しないから・・・」





「バカ千石・・・不二周助を侮るなよ・・・」





「うん・・・俺がバカだった・・・」













フッ・・・と微笑んで、不二がそっと項垂れる千石の額の髪を掻き分けて、

優しくキスをした。





「不二・・・?」



驚いたように、千石が顔を上げて不二を見つめた。







「おバカさん・・・ ダメだって言われても、それでも会いたいって言ってよ・・・

僕もなんとかするから・・・」



「不二・・・」



「僕だって、会いたくなくって断ってるんじゃないんだ。

一緒に居たいのは、何も君ばっかじゃないんだよ・・・

僕も・・・・だからね・・・」



と綺麗に微笑んだ。









どんな責めの言葉よりも、





どんなつっけんどうな態度よりも、





その不二の言葉と微笑みは、千石の心に堪えた・・・・・















「ごめんっ。不二・・・・俺・・・もぅ・・・・」



そう言って、千石は不二をぎゅっと抱きしめた。









「もう・・・いいよ・・・・ただ・・・心配だけはさせないで・・・」







そう言う不二の目尻に溜まった涙を指で優しく拭って、

千石はそっと口付けをしたのだった。






























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