悪友
昼からの授業を、全部キャンセルした俺は、屋上で空を見上げながら、
部活までの時間をのんびり過ごすことにしていた。
あんなメリハリの無い、もっさい教室に一日中はいられない。
いつも、なんだかんだ理由をつけては、抜け出してる。
先生も他の奴等も、流石に俺と、もう一人には何も言えないらしい・・・
ポケットを探って、お気に入りのラッキーストライクをボックスから1本引っ張り出して、
咥えてから火をつけようと、今度はズボンのポケットに手を突っ込んだが、
ライターが見当たらず、きっと他所から他人が見たら、、挙動不審に見えるだろうなぁって思うような
動きをしてると、目の前に炎がスッと突き出された。
「さんきゅっ!」煙を吐きながら振り向くと、いつもの不機嫌そうな面をした、
もう一人の男、亜久津仁がいた。
「ったく・・・・だせー・・・ざまぁねぇな」
「いいじゃん。っつーかマジどこいったんだろ?」
可愛くないこと言っときながら、俺の独り言をしっかり聞いてた亜久津は、
「テメーBOXにつっこんでんじゃねぇのかよ」と呆れたように言った。
確かにね・・・いつもタバコのBOXの空いたスペースにライターを突っ込んで
るんだけど、今日はまだライター入れるほどのスペースがなかったからさ・・・
別にしてたのが失敗だったみたい・・・
「あれ・・・気に入ってたのにな・・」残念そうに呟く俺に
「たかが100円ライターだろ」って、となりで、キャメルふかしながら亜久津が言った。
「だって・・・あれは不二から貰った大事なライターだったのにさ・・・今日は俺はちょっとアンラッキー」
「はぁ?」
「あーっ・・・今、バカにしたな?」
「話になんねぇ・・・・バカバカしぃっ・・・」
「ひどいなぁ」
「テメーがそこまでご執心とはな・・・」
「だって・・・最近稀に見る史上最高のヒットだよ」俺は力を込めて言った。
「まぁな・・・確かに上玉だ・・・」
『え?』俺はあいつの言葉に、一瞬耳を疑った。だって滅多に人っていうか・・・
褒めるなんてことしない亜久津が褒めたんだぜ・・・・マジで・・・
「あっくんも認定ってことだから、フォローよろしくね」俺がウィンクしながら言うと、
「冗談じゃねぇっ!おらぁそんな閑じゃねぇよ!」ってあいつは怒鳴るように言った。
「もぉ・・つれないなぁ・・・・」と言いながら俺は、ふっとあの事を思い出して
「で?いつになったらウチ(テニス部)にくるの?」とあいつに尋ねた。
「はぁ?球遊びなんざ俺は興味ねぇよ」じゃぁなとあいつが背を向けた。
俺と二個イチみたいな感じで入学当時からここ(山吹)を束ねるようになった
相方みたいなアイツは、俺の行動パターンとか分かってるんだろうな・・・
これ以上この話題に触れられるのはイヤだってことか・・・
変なとこで意地張らなくてもなぁ・・・
けどまぁまだ時間はあるし・・・・
俺は去っていくあいつの背中を見ながら、心の中でつぶやいた。
なんだかんだ言いながら、あいつは不二のことイロイロと、
俺が知らない情報とかそれとなく知らせてくれたり、
たまに影で不二を狙ってたりしてる奴等をボコってくれたりして
くだらねぇ・・・って思ってたここ(山吹)での生活を、楽しくしてくれてる。
何かわかんないけど気が合うんだよね・・・俺達。
不二といい、あいつといい、俺って人間関係の運にも恵まれてるのかな
なんて思っちゃう今日この頃。
腐れ縁とか言うけど、
親友兼悪友のあいつと知り合えて、
やっぱ、らっきぃ。
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