アイタイ。



















携帯の画面に映し出された文字・・・







『アイタイ。』







不二は、それをじっと眺めてから、ふっと顔を上げて、

自分の目の前で、気まずそうに立って苦笑いをしている人物の

顔をまじまじと見つめた。









「はぁ・・・・っ」

それから盛大な溜息をついて、また携帯の画面に目を落とす。









「怒ってる?」と目の前の人物は、不安そうに不二の顔を覗き込んだ。









「怒る気もしない・・・・」

しょうがないな・・・と言った顔で、不二は目の前の人に言った。









部活が終わって、皆と帰ろうとしていた不二は、携帯に着信したメールを

見ようと画面を開いた時、校門の横で同じく携帯を握って

立っている人物を見かけたのだった。











「今更、君の国語力をどうこう言うつもりはないけど、

世間一般的に、こういう時は・・・『アイタイ。』じゃなくって

『会いに来た』って表現を使うんじゃないのか?」

日本語おかしくないか?・・・とその人に言う。







「だってさ・・『ダメ』って返事が返ってきたら、寂しいじゃん」

とその人は、苦笑いをして言い訳をする。





「千石らしいと言えばそうなんだろうけどな・・・こういうのって」

諦めたように不二が笑った。

「けど、やっぱり、日本語の使い方としては、間違ってる」





「厳しいなぁ〜」と千石は苦笑いをした。





「で?どうするつもりなんだ・・・これから。まさか、発作的に来たとか、

言うんじゃないんだろうな」不二が言った。





「え・・・っと・・・」

答えに詰まって立ち尽くす千石は、まるで先生に叱られている小学生のようだった。







「クスクス・・・山吹の総長が・・・・そんなんでいいのかい?」

と不二が可笑しそうに笑う。





「俺が唯一頭上がらないのは不二なの・・・」千石が言った。





「それは、それは・・・光栄だな」





「もぉ・・・・からかわないでよ・・・」





ふふっ・・と不二が笑う







「いいよ、ちょっとカフェでも行って、お茶でもしよう。

その間に、ゆっくり考えればいいさ。付き合うし・・・」

と楽しそうに言った。





「え?ほんと?!!」

不二の言葉に満面笑みを浮かべて千石が答えた。





「せっかく千石がが会いにきてくれたんだし・・・

それに・・・・僕も会いたかったからね・・・」

と不二がウィンクしながら微笑んだ。





「俺ってば、ほんと、今日はラッキーでハッピー」

と嬉しそうに千石が言った。





「僕もハッピーだよ」

と不二が言う。





これ以上ないと言うほどの笑みを浮かべて、千石が不二をぎゅっと抱きしめた。





校門の角の一目につかないところと言っても、道路の真ん中での千石の行動に、

ちょっとびっくりしつつも、不二はニコリと笑顔で答えた。





「俺にとって、不二とこうして付き合えてるってことが超ハッピーなこと

なんだよ・・・・」と言う千石に










よっぽどのことがない限り断ったりしないからさ、

これからは、ちゃんとした日本語使うこと!






と不二が微笑んで答えたのだった・・・





















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