自信
シュパァァアァン
ドスッ・・・
ザザザッ
スパァァン・・・
寺の裏のコートに響き渡る音
「ふんっ・・・やるようになったじゃねぇか・・・」
「口効く余裕あるんだっ・・・」
「ガキがっ!」
「なら・・いくよっ!」
「けっ!ぬかしやがって」
ネットを挟んで対峙する瞳は黒く鋭く猛獣のようだった
その二人が夕暮れの中、汗を流してた
「くそっ・・」
少年の放った球が男の脇を抜けてコーナーに突き刺さる
「ふんっ・・無駄口たたいてるからだよ」少年は帽子のツバを指で挟んでニヤリと笑った
「けっ・・・」気配だけでボールを見限った男は咥えていた煙草をプッと吹き捨てて
不敵な微笑を見せた。
「面白れぇ・・・来いよ」獲物を見据えたような鋭く突きささる瞳で少年を見据えて言う
「年取ると嫌だね・・往生際悪くってさ・・」
そしてまた二人の間に緊迫した空気が張り詰めていた
どちらも一歩も引かないラリーが長時間続く・・・・
ボールの音と荒い息使いだけが辺りを支配していた
「ちっ・・・・」そして・・・男の打った球が少年のラケットを吹き飛ばした
「はんっ・・・そこまでかよっ・・」男の声に
「くそっ・・」少年の吐き捨てるような声が答えた
「もっと楽しませてくれねぇのかよ」そういいながら男は新しい煙草を咥えて
それに火をつけた・・・・
「わるかったね。けど・・・次はそんな口叩けないよ」
「へぇ・・・大した自信だな」
「当たり前」言い切る少年に
「ちったぁ成長したみてぇだな・・・・」と男は少し満足げに呟いた
「自分の息子に向かってガキよばわりかよ・・・」
「背伸びすんなって・・・・ガキはガキだぜ」紫煙を吐きながら男は言った
「ちっ・・・・可愛げないね」
「そりゃお前だろ・・どっから沸いて来るんだよ。。。その自信」
「前から。血の元だろ?アンタ」不敵に微笑んで少年は答えた
「ちげーよ・・・今までとは比べもんにならねぇ・・・・」男は口惜しそうに言った
「何言ってんの?」
「あいつのせいか?それとも・・・・」と言いかけた男の言葉にかぶせるように
「あの人の『為』だよ」と越前ははっきり言った
「随分はっきり言うな・・・」呆れたようにふわりと微笑んで南次郎は言った
「当然」ぶっきらぼうに越前はそれに答えた
「当然ね・・・・」
「何か言いたそうだね」チラリと睨む越前に
「珍しくマジだと思ってな・・・」と南次郎は答えた
「何?今更」
「ま、美人にはちげぇねぇけどな・・・・」
「悪いけど・・・俺に子孫残せって言ってももう無駄だからね」
「別にンなこたぁこだわってねぇ・・・・どうでもいいことだ」
「だったらいいじゃん・・・・・ウザイよ」
「お前は良くても・・アイツはいいのかよ」直球を投げてくる南次郎に越前はしらっと答えた
「ご心配なく。絶対後悔なんかさせないし、幸せにするから」
「また、バカみてぇな自信だな」
「あぁ」
「なら、せいぜい頑張るこったな・・・・中途半端じゃアイツ泣かしちまうことになるぜ?」
「それもご心配なく。あの人にはずっと笑顔でいてもらうから」
背を向けて越前は南次郎の前を歩いた
そして思い出したかのようにふいと後ろを振り返り
「あの人俺のモンだから、分かってると思うけど・・・惚れるなよ」と言った
「ガキのモンに手、出すほど落ちぶれちゃいねぇよ」と言う南次郎に
「返事は?」と越前は睨みつけながら言った
「へーへ」と答える南次郎をみて越前はまた前を向いた
南次郎はそんな息子の背をみながら満足そうな顔をして前を歩く息子を頼もしそうに目を細めてみたのだった・・・・
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