天気予報
天気予報は毎朝見る
けれど
晴れだろうが
雨だろうが
朝から降っていない限り
不二は、決して傘を持っては行かない。
「あ、雨だ・・・」
放課後、皆が帰った教室で、日直の日誌を書きながら
不二は雨の音に顔を上げて、天気の欄の「曇」の横に小さく「のち雨」を書き足した。
「不二ー、ちゃんと今朝、天気予報見てきた?」当番の相方である菊丸が言った。
「うん」
「降水確率90%だったにゃ」
「へぇ・・・それは知らなかったな」
「もぉー、ダメじゃん。ちゃんとそこまで見なきゃ」と少し呆れたように菊丸が言った。
「ん・・・・」
「こんなしょっ中忘れるなら、置き傘でもしたら?」と言う菊丸に、
「英二・・それは大きなお世話と言うものだよ」
と、廊下から乾が教室に入ってきて言った。
「どうした?乾」と言う不二に、
「ちょっとね・・・姫のお顔を拝見しに寄ってみただけ・・」と笑って答えた。
「ねーねー、ニャンで?」と覗き込むように尋ねる菊丸に、
「考えてもみろ・・今まで雨が降っても不二は、ただの一回も濡れて帰ったことは
ないだろ?」
「だって、それは・・・」と言いかけて、菊丸はピンときたのか嬉しそうに笑って、
「ニャーンだ!!そーゆーことか!!」と手を叩いて言った。
「もう・・・乾・・」苦笑いする不二に
「姫が少しお困りのようだったので、お助けしようと思ったんですがね・・・
お気に召しませんでした?」と優しく微笑んで乾は言った。
「別に・・・もういいよ」と言う不二に
「噂をすればほら・・・・お迎えですよ」と乾が言った。
「不二・・・」
教室のドアのところに来た手塚が、不二を呼んだ。
「手塚!」嬉しそうに不二は「終わった?」と尋ねた。
「あぁ・・お前はどうだ?」
「うん、もう終わる。帰りに職員室寄ってくれないかな?」
「あぁ・・構わん」
柔らかい表情で、不二とのやりとりをしていた手塚は、不二の横に立っている
乾をチラリと睨んで
「お前はそこで何をしている」と言った。
「ちょっと英二に用があってね」と言いながら、乾は菊丸の方を「な?」と見た。
「あ・・うん・・そうにゃ。あ・・不二。日誌は俺が出しとくから、もう帰りなよ」
と菊丸が言う。
「いいのか?英二」
「うんうん。全然オッケーだにゃ!」
「そう・・・ありがとう」
そういうと、不二は嬉しそうにカバンを手に、手塚のもとへ行った。
「帰ろう。手塚」下から見上げて言う不二に
「あぁ」手塚は優しく言って不二の頭をクシャとした。
『うへぇ・・・甘っ・・・・』菊丸は心の中で呟いた。
二人が去って、暫くして教室の窓から下を見ると、
少し大きめのチェックの傘の下に、仲良く寄り添う二人の姿があった。
「あれ?手塚の傘って、黒じゃなかったっけ?」
「やはりな・・・」乾はノートに何やら書きながら呟いた。
「やっぱりって?」
「前の傘では少し小さかったからな・・」
「あの手塚がね・・・」感心したように言う菊丸。
『姫の為・・・・でしょうかね』と乾は心で呟いた。
「不二には天気予報要らないにゃ・・・・」
菊丸の溜息が、教室に響いたのだった・・・
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