刹那を重ねて
「んっ・・・悟浄っ」
暗闇の中・・・彷徨うように伸ばされる白い腕
「ここだっ」
「あっ・・・」
荒い息の中、交わされる短い言葉と言葉
縋りつくように求める指先を、力強く手繰り寄せ、
そのままベッドに押し付けた。
「目・・・開けなって」
「んっ・・・」
余裕も何もなく、ただ、短く答える唇を
タバコの匂いのしみついた唇が荒々しく塞いだ。
「んんっ・・・」
呼吸もままならいまま、強く激しく突き上げられて、
くぐもった苦しげな声が、八戒の喉の奥から漏れ響く・・・
「ソソルな・・・」
「はぁっ・・・」
ひとしきり口内を貪られ、開放された唇から、新鮮な空気を吸い込んでいると、
耳元で優しく卑猥に囁かれた。
「何っ・・・」
「一瞬、ギュってな・・・」
そう言われながら、円を描くように腰を回されて、
何を意味しているか分かった八戒は、一旦うっすら目を開けてから、
さっと頬を染めて、顔を背けた。
「だーかーらー」ふんっと、満足げな笑みを浮かべて、悟浄は腰の動きを止めて
八戒を見下ろした。
熱病に冒されたように八戒に欲情する悟浄。
八戒の現在、過去、未来の全てを受け入れて、受け止めると誓った悟浄を、
八戒は、泣きそうな目で、儚げに微笑んで両腕を広げて、迎え入れた。
永遠なんてものは存在しない
それでも
そんな曖昧で、儚い夢に、淡い憧れを抱いてしまう自分を許せなかった八戒を
悟浄は根気強く、思いの丈で口説いたのだった。
「永遠が嫌なら、それでもいい。
どうしても、そいつが許せねぇなら、刹那でいい。
俺を見て、俺を信じてくれ・・・」
「悟浄・・・」
「お前のその刹那を積み重ねて、俺は自分の夢を見る」
「悟浄」
「それでいいじゃねぇ・・・無理なんかしなくていい」
そして二人は、それぞれの望む形で
それぞれの見たい夢を見る・・・
強く八戒を抱きしめて、口付ける悟浄に、
八戒もその背に腕を回して
そのままもつれ合うように、二人はベッドに雪崩れ込んだ・・・
艶かしく姿態を晒して、煽っているのに、
生娘のような恥じらいを見せる八戒に、
悟浄の激情はとどまることを知らず、
支配欲と加虐心をそそられるのだった
手繰り寄せた腕をベッドに張り付けて、
深く繋げたそこが、溶けてしまうように腰を振り続ける。
閉じた瞼から流れる雫も愛しいが、
開かれたそこから見える、翡翠色の瞳もたまらなく愛しかった。
目をあけて、
自分を見つめて欲しいと思う。
現実を見つめるように
今の、この瞬間の
二人を見つめて欲しいと思う。
そして
自分だけを見つめ
いつまでも溺れていて欲しいと
多くの刹那を重ね
いつしか自分の夢と同じものを感じて欲しいと・・・
切に思う・・・
「悟浄・・・」
動かぬ悟浄を、八戒が、潤んだ瞳でじっと見つめた。
ぐっと、八戒の中で、質量を増す悟浄。
「あっ・・・」
それを感じて、八戒が艶のある声を上げた。
クチュクチュ・・・
悟浄の動きと共に、卑猥な音がまた響く・・・
「お前に見つめらて、喜んでんのよ」悟浄は優しく微笑んで言った。
「悟浄・・・んっ・・・」
ゆるゆると動きを再開始めた悟浄に、八戒はまた声を上げた。
「お前に感じてもらって、調子に乗っちゃうわけ」
「あっ・・・」
「何でか分かる?」
「あんっ・・・」
「それは 」
悟浄は八戒の耳元で、そっと囁いた。
「くっ・・・」
ぎゅっと締まる八戒のそこに、悟浄が今度はくぐもった声を出す。
「キス・・・して・・・悟浄」
ゆれる翡翠色の瞳に見つめられて、悟浄は引き寄せられるように
八戒にキスをした。
「んっ・・・」
再びぎゅっと締まるそこに、悟浄は喉の奥で声を漏らす。
「おい・・・」困ったように八戒を見下ろす悟浄に
「ぼくも・・・調子に乗ってるんですよ」と八戒は答えた。
「え?」
「あなたに愛されて・・・幸せ感じてます」
ニヤっと悟浄が微笑んだ。
「嬉しいこと言ってくれるね・・・もっと感じてよ」
「感じさせて下さい」
「おぅ・・・」
再び、二人は唇をあわせた。
今度は積極的な八戒の舌の動きに、悟浄は負けじと腰を振る。
強く強く絡み合いながら、二人は刹那を分かちあう・・・
いつか消え行くこの身でも
魂が救われるなら
それでいい
その瞬間まで
願わくば
この愛しき人と
共に
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