2001
横須賀の蒼雲の別宅にある茶室にて
蒼「周助はどうしている?」
跡「変わりねぇよ」
蒼「そうか・・・息災か」
跡「テメーの気にすることじゃねぇだろ」
蒼「そう言うな」
跡「・・・ったく」
碗を差し出しながら
蒼「結局、わしらも共犯ということになるんじゃろうな・・・」
跡「ふん・・・」
蒼「あれを巻き込んだ・・・」
跡「関係ねぇよ」
茶を口にして跡部が言った。
蒼「ん?」
跡「いい碗だ・・・」
手にした碗を回し見ながら呟いて
跡「嫌ならとっくにどっかに行ちまってるはずだ・・・」
蒼「・・・・それもそうだな・・・」
跡「ただ今回の件で許せねえのが・・・」
蒼「ん?」
跡「油断してたことだ・・・俺自身がな」
蒼「それはわしも同じだよ」
跡「二度と同じ轍は踏まねぇ」
しばしの沈黙・・・
シシオドシと水の音だけが響く
跡「骨になろうが灰になろうがあいつは絶対俺のところへ帰ってくるだろうけどな
それは俺が許さねぇ・・・生きてなきゃ意味はねぇんだ・・・
今回は無事に還ってきたがあんな思いはもうたくさんだぜ」
蒼「饗庭とか言ったか・・・」
跡「別にあのクソガキに食われたことなんか気にしちゃいねぇ。つまみ食いに興味はねぇよ」
蒼「そぉかな?」
跡「うるせぇ・・・」
蒼「しかしな・・・どれほど気をつけていようと、僅かな隙は生じるものだ」
跡「分かってる」
蒼「今回は周助だったが、次はお前かも知れん」
跡「あぁ・・・だからこそ、次は無いと誓ったんだ。俺自身に」
蒼「そうか・・・」
跡「俺にもしものことがあったら・・・きっとあいつは他の誰よりもあいつ自身を許さねぇだろうからな・・」
蒼「そうだな・・・あれはそういう子だ・・・」
二人して遠い目
蒼「軍隊の一つでも持とうかのぉ・・・」
跡「はぁ?」
蒼「あれの為に」
跡「冗談だろ?」
蒼「冗談に聞こえるか?」
不敵に微笑む蒼雲を睨んでいた跡部はふっと溜息をついた
跡「洒落にならねぇぜ・・・」
蒼「ははは・・・あれを大切に思うのは何もお前だけじゃなかろう?」
跡「あぁ・・・だが、あいつは俺だけのモノだ。それはあいつが望んでいることでもある」
蒼「ふん・・・そうじゃったな・・・」
跡「そうなんだよ」
と、そこへ鮫島が不二が邸に着いたと連絡を入れに来た。
分かったと鮫島の後について茶室を出て行く跡部の姿を見ながら蒼雲翁は
『あいつのあんな嬉しそうな顔は久しぶりに見たわ・・・』と嬉しそうに
呟いたのだった
オフ本収録話の「孤独な月」の後日談の一コマ。
今回は景吾のおじいちゃまはあんまり出てこなかったんで。
このおまけでなんとか・・・・(苦笑)
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