君だけを信じて





















永遠



不動



不変



絶対













そんな言葉は僕は信じない

















「周助?」



「ん?」



「何を考えとったんや?」そう言いながら忍足はそっと後ろから不二を包み込むように

抱きしめた。



「別に・・・」窓にもたれたまま不二は空を見上げたまま答えた。



「そぉか・・・」それにしては幽体離脱しとったみたやけど?と忍足が不二の耳朶にchuと

一つキスを落とすと、不二はくすぐったそうに身じろいだのだった。







「なんかセンチになってへんか?」

僅かな不二の変化も忍足は決して見逃すことがなかった。その鋭さは不二自身が気づいてない

深層心理のその奥までをも見透かすほど・・・・



「どうして?」



「なんとなくや・・・」強いて言うたら愛の力ちゃうか?と少しおどけたように言う忍足に



「曖昧すぎ・・・」と不二は少し不服そうに呟いた。



「なんや・・・俺の愛の力が足りひんのか?」忍足は不二の首筋に今度はキスをした。



「違うよ・・・ってどうしてそうなるの?」



「別にごまかそう思てへんけど?美味そうやから・・・ええ匂いやし」今度は忍足は強く同じところに

吸い付いた。



「んもぉ・・・痛いよ・・・」痕残るし・・・と愚痴る不二に



「しゃーないなぁ」と忍足は溜息混じりに呟いた。













「こっち向いてみ?」



「やだ・・・」



「拗ねんと・・・な?」



「わがままだなぁ」



「どっちがや・・・ほんまに困ったお姫さんやな」そんな不二の態度も仕草も忍足には

愛しくて可愛らしくて仕方なかった。



「お願いやから俺のほう向いてぇな・・・」甘えたような忍足の声に不二も仕方なさそうに

体の向きを変えた。



「これでいい?」



「おおきに」忍足はニコリと微笑んで不二を抱き寄せると胡坐をかいて座っている

自分を跨がせるように引き寄せた。













「一人でブルーになったらあかんやん」



「なんで分かるのさ」



忍足はふっと微笑むと不二と鼻の先を擦り合わせるくらい近くに顔を寄せて

「せやから俺にはわかるねんって言うたやろ?」と静かに言った。



「根拠もなく?」



「これや!ちゅー根拠はないで?せやけど・・・おまえの全部が俺に知らせてくれるねん」



「それこそ超曖昧だよ」



「それでええんちゃうの?」



「なんでさ」



「曖昧やねんけどお前が立たずんどる時の背中とかお前が顔上げるときの目の伏せ具合とか

 お前が俺の腕の中で身じろぐときの仕草とかそんなんが全部その時のお前を

 俺に教えてくれるねん」



「じゃぁ侑士は僕の心が読めるっていうの?」



「全部は分からんで・・・なんとなく。それこそ曖昧にな・・・」はずれとるか?

優しく言う忍足に不二は困ったような顔をして俯いた。



「あながちウソやないやろ?」



「・・・うん」



不二は観念したように頷いた。するとふっと忍足の腕がやさしく背中から自分を包み込んで

温かくて広い胸に抱き寄せられた。











「お前がさっき見とった星のな・・・寿命はめっちゃ長いやん?それに比べたら

 俺らの人生なんかチュンゆうたら終わりや。せやけどそのほんまに短い人生の中で

 すったもんだして悩んで苦しんで楽しみに見つけて一生懸命するやろ?」



「うん」忍足が何を言わんとしてるか掴みきれない不二は黙ってそのまま話を聞き続けるのだった。



「アホらしいて滑稽でも必死や・・・ほんの一瞬のええ時のために・・・」



「侑士・・・」何故か少し不安になった不二は思わず忍足を見上げて声を出した。



「最後まで聞いてや・・・」忍足は優しく不二の背中を撫でながら言った。



「永遠とか絶対とか俺はないと思うねん」



忍足の言葉に不二は体が硬直して血の気が引くような気がした。



「それはお前もそない思てると思うねんけど・・・」不二は忍足の胸にしがみついた。



「けどな、それでええねん。ええ格好言うて絵空事追いかけてもしゃーないもん。

 ほんでもな・・・・周助。俺がお前を好きやっちゅーことは事実やねん。

 好きなお前を幸せにしたるんも勿論やけど、好きなお前と幸せに俺はなりたいねん。

 そのためにやったらどないなことでもやるし、努力は惜しまへんて覚悟はしとる」



少しずつ、不二の中に忍足の言わんとすることが染みてくるようだった。その証拠に

徐々に心の中から不安が消えていくのを不二は感じていた。



「永遠がないんやったら刹那を大事に生きたらええやん。その積み重ねやろ?

 昨日よりも今日、今日よりも明日や。お前と幸せに過ごせたらそれが俺の一番や。

 多分その繰り返しで俺らは気づいたらおじぃになっとるはずや」

忍足の最後の一言に不二は思わず笑みが漏れた。



「世の儚さを嘆いたらあかんで?楽しまんとな?」蕩けるような優しい忍足の笑みに

不二はさっきまでの不安な思いやその前の感傷的な思いがみるみる消えていく気がするのだった。









『あぁ・・・君は・・・どうしていつもそう僕の魂を救ってくれるんだろう・・・』









「確信できひんもんは信じんでええけど。侑士君は信じて欲しいなぁ〜」なんでかゆーたら

俺はお前を信じとるもん。ウィンクする忍足に不二は思いっきり強く腕を回して抱きついた。



忍足は満足そうに微笑むと何度も何度も繰り返し「可愛いなぁ」と呟きながら不二の背を撫でたのだった。





















永遠とか絶対を口にしないで愛を語るのはきっと凄く難しいことだろう。

けれど侑士はあえて僕に僕の不安を分かってて

それをしてくれた。



曖昧な言葉や抽象的な表現は時としてとても不安にするものだけれど

侑士は・・・

何よりも確かな存在で僕に安らぎを与えてくれる。



だから

僕は侑士を信じて、

侑士と過ごせる日々・・・一日一日を大切にこれからも

侑士と一緒に生きていこう・・・





















「お前を好きになってお前とこうして付き合えるようになった時に

 俺はお前の不安も安心も苦しみも辛さも幸せも

 全部全部引き受けるって俺自身に誓うてるんやで?」



「だから僕のことが分かるんだね」



「せや・・・すごいやろ?」



「うん・・・すごいや」



「忍足侑士のスーパーパワーや・・・周助限定やけどな?」

はにかみながら笑う忍足の笑顔が眩しくて素敵で不二はいいようのない幸せを感じた。





「ありがとう・・・侑士」



「好きやで・・・周助」























永遠



絶対



不動



不変







そんなものは僕にはいらない



君がいれば



それだけでいい
































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