本当C
それから1週間後、不二の携帯に跡部からメールが届いた
『忍足の誕生日だけどよ。。明日だぜ』
次の日、不二は忍足を誘って、何週間かぶりにラケットを握った。
「どういう風のふきまわしや?あんなけテニス嫌がってたのに・・・」
「別に、ただなんとなく」
「まぁええわ。久しぶりに周助のテニスが見れるから、俺は嬉しいけどな」
「久しぶりだから、軽くだよ。」
「とか言いながらいきなり開眼せんといてや・・・頼むでほんま・・」
公営のレンタルコートで、二人の打ち合いが始まった。
軽いラリーから始めたが、みるみる不二のテンションが上がり
今までの空白を埋めるかのように、鋭いショットを放っていった。
みるみる時間が過ぎていく・・・
「やっぱり・・・洒落ならんなぁ・・・化けモンか?」
「一応、褒め言葉としてもらっとくよ」
「・・・吹っ切れたんやな・・・手塚のこと」
「おかげさまで」
「よかったわ。お前が素で笑うのが見れるようになって」
そう言って、嬉しそうに微笑む忍足に見つめられて、急に不二は、耳まで真っ赤にして硬直した。
練習が終わって、忍足を好きだと自覚してたことを思い出した途端、突然、感情のコントロールが効かなくっていた。
「どないしたん?」
「な・・なんでもないよっ・・」
「なんや吹っ切れたと思たら、今度はおかしなったんか?」
ふっと忍足が、不二の頭に手を乗せて顔を覗き込んだ。
タオルで顔を隠し、慌てる不二の心臓は、さっきからドキドキしっぱなしで、
固まりながらオロオロする姿は、まるで恋する少女のようだった。
明らかに、手塚の時とは違う自分の現状に、不二はやはりこれが恋愛なんだと改めて痛感していた。
「大丈夫か?なんかあるんやったら言うてみ?」あまりの様子に忍足が心配そうに尋ねた
「あ・・・いや・・・えっと、侑士・・・」
「ん?」
「誕生日・・・おめでとう・・・」
「お〜〜っ。知っとったんかいな〜〜。いやー、めっちゃ嬉しいわ」
「プレゼント・・・何がいいのか分からなくて、聞いてからにしようと思ってたんだ」
「え・・・ハハハ・・・ええよ。気にせんで・・もう、もろてるし」
「え?」
「ほら、今。大好きな周助と、久しぶりにテニスできて、その周助からおめでとうて、言うてもらえたんや。
なにより嬉しいわ」
その辺の女子がするような、告白してる姿よりも、何万倍も愛くるしい不二の様子を見て、
忍足は忍足で、かなりいっぱいいっぱいな感じ。
不二は不二で、忍足の一挙手一投足に歯が浮きそうな・・胸がぎゅっとなるような感覚と格闘していた。
「侑士?」
「ん?なんや?」
「さっき・・僕のこと・・」
「あ・・・言うてしもたな・・・黙っとこうと思っとってんけどな・・・大好きなんや・・・お前が・・」
優しい眼差しで、不二を見下ろしながら、忍足は恥ずかしそうに微笑んで言った。
「僕・・・見つけたんだ」
「ん?」
「僕にとって一番を・・・」
「そおか・・・よかったなぁ」
「侑士」
「へ?」
「僕にとって一番好きで、大切なのは、君だよ。侑士」
「・・・周助・・・」
「迷惑?」
「もぉーーー何言うてんねん!!俺は、最高にハッピーやで!ほんまっ!」
忍足は、不二を抱きしめて、優しく初めてのキスをした。
「おおきに、周助。最高の誕生日プレゼントや・・絶対幸せにするからな!!」と言った
「こちらこそよろしく」
そう言って微笑んだ不二の笑顔は、、今まで忍足が見た中でも、一番キラキラ輝いて見えた。
そして僕は、侑士と付き合うようになった。
それからは、部活にもよく顔をだした。
いつも侑士と練習してるからか、まだ越前には負けていないのを、自分では頑張ってると思ってる
英二には、侑士と付き合うようになって、僕が憑き物が落ちたみたいにさっぱりしたって、笑われた。
「そういや、忍足って手塚に似てねぇ?」って言われた時
「そお?そんなことないだろ?まぁ。たまに手塚が侑士に似てるなって思うことはあるけど」って答えたら
「こりゃ重症だね」ってまた大笑いされた。
そして春。
僕達は青学を卒業した。
大石と英二は、高等部へ進学して、またダブルスでペアを組んでる
タカさんも、高等部へ進学したけど、家業を継ぐのに、テニスはやめて修行に励んでる
乾は、理工学系の凄い大学の付属高校へ進学して、怪しげな研究に勤しんでる
手塚は、アメリカへ発ち、プロデビューをして頑張ってる
そして僕は
幼馴染の跡部と、大好きな侑士がいる氷帝へ進学して、
テニスをしながら、賑やかに毎日を過ごしてる
恥ずかしいくらい、お互いを曝け出して、我侭言ったり、労わりあったりして凄く自然に心地良い日々だ。
こんなに充実して、満たされた日々なんてあるんだろうかって思ってしまうくらい・・・
後で聞いた話だけど、氷帝戦の時に、侑士は僕に一目惚れしてたらしくて、
それを知ってた跡部が、僕が跡部の家に行く時に、侑士を呼んでたらしい。
町であの時出会ったのは偶然だったけど、あの頃様子がおかしい僕を、侑士は凄く心配しててくれたらしくて
あそこでばったり出会わなかったら、青学まで乗り込んでくる気だったって。
英二とは、今でもよく会って、お互いの話をするけど、たまに僕が変な関西弁を口走ることがあるらしくって
いつもお腹を抱えて笑ってる。
「不二ってば何人だよ〜〜」って
跡部は、僕らの身元引受人みたいな感じで見守ってくれて、
氷帝のみんなも、冷やかしながらも僕らを応援してくれる。
そして、一番僕を理解して、支えてくれる侑士が、いつも僕の傍にいてくれるのが、何よりの幸せ・・・
「周助・・・あんまりぼぉ〜っとしとったら、脳みそ耳から流れ落ちるで〜」
「ひどいっ!侑士のアホ!」
「クックック・・・」
「何がそんなにオモロイんだよ・・・」
「いや・・・可愛いなぁ・・・・思てなぁ・・」
そっと不二を抱きしめて、頭に顔を埋めながら
「好きやで・・ほんま。大好きや」と、忍足は、口癖のように呟く。
「侑士・・僕も・・・大好きだよ・・・・」
忍足の腕に包まれながら、不二もまた、口癖のように囁くのだった・・・
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