あかんやろ、ソレ
「はぁ・・・」
待ち合わせの噴水の前で、不二は大きな溜息をついた。
携帯の画面を見て、時間を確かめる
『早すぎた・・・』心の中でそう呟いたとき
「君、一人?」と背後から声を掛けられた
『あぁ・・・・もぉ・・・』心の中でぼやきながらとりあえず聞こえないフリをした。
「ねーねー、君のことなんだけど?」の声と一緒に肩をポンと叩かれて
『あー、最悪・・・』仕方なく振り返って「え?」不二はと答えた
「うわぁー、美人!」もう一人いたらしい男が嬉しそうに声を上げた
「ちょっとお茶でもしようよ」と誘う男達に
「人を待ってるんだ・・・」
と不二は極力無愛想に答えた
「そんな構えなくってもさ・・・」
「いいじゃん。お茶くらい」
「良くない。待ち合わせしてるんだ」
「来てないんだろ?相手」
「そうそう」
と強引に誘う男たちに腕をつかまれそうになったところで
背後からドスの効いた声がした
「あかんやろ・・・・それ・・・」
「あっ・・侑士」
安堵の表情を浮かべて忍足を見る不二に
「早かってんな」と忍足はニッと笑ってすばやく不二を自分のほうへ引き寄せた
そしてまた鋭い目つきで男たちを睨んだ。
殺気にも似たオーラを発しながらその二人を圧倒する忍足は強烈なガンを飛ばしたあと
その二人に向かって言った
「人のモンに手ぇだしたらあかんちゅーとるんじゃ!聞えへんのかい・・おら!」
こんな時、ドスの効いた声で関西弁を吐く忍足はその存在だけで十分凶器となるのだった
「くそっ・・・」
「ちっ・・・」
捨て台詞を吐きながら男たちはその場を退散していった。
「あかんて・・・ほんまに・・・『ごめんなさい』くらい言うていけや・・・」
と呆れたように呟いてから忍足は不二の方を向いて
「ごめんなぁ・・・もうちょっと早ぉ来たらよかったな・・大丈夫やったか?」
と心配そうに尋ねた
「大丈夫。僕こそ。ちょっと早く来すぎた・・・」
「何言うとるねん・・もぉ・・・あかんわ・・これからはちゃんと俺、迎えにいくから」
と言う忍足に
「侑士の気が済むように・・・」と不二は苦笑いしながら答えた
「あぁ、そないする!」忍足が気合を入れるように言うのを見て、不二は楽しそうに微笑んだ
「何か俺、おもろいこと言うたか?」
「うぅん・・・・嬉しいなってさ・・・」
「え?」
「侑士にそこまで思ってもらえて・・・」不二は照れながら言った
「あったり前やろ!お前は俺の可愛い大事な大事な子なんやから!!」
と言う忍足に
「ありがとう」と不二は幸せそうに言った
「どーいたしましてや・・・・・ほんなら、行こか?」
忍足は優しく微笑んで不二の手を握った
「うん、行こう」そう言って不二もその手を握り返した
繋いだ手を離さないように辺りに甘いムードをふりまきつつ
幸せそうに二人は街の中へと消えて行った・・・
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