「さっきから何見てんだ?」



昼休みに、屋上で二人っきりでお弁当を食べて、不二の膝枕でまったりしていた跡部が、

空を見上げたままピクリとも動かない不二に、痺れを切らしたように言った。



「何って・・・空だよ」視線を動かさずに不二が答えた。


「んなことは、分かってんだよ。空の何だって聞いてんだろ」


「雲だよ」


「はぁ?」


「おもしろいよ。君も見てごらんよ」


「何がおもしろいんだよ」

さっきから自分を見ない不二に、跡部はイライラしてきていた。

そんな跡部の心理状況を知ってか知らずか、すっと人差し指で空を指して不二が言った。

「ほら、あっちのはわたあめみたい。君と食べたらおいしいかも」

「こっちのはモコモコしてるから、君と一緒に乗っかったら気持ち良いだろうな」

「跡部・・・君もそう思わないかい?」

とニッコリ微笑んだ綺麗な笑顔で不二が跡部を見つめた。

あんなに向けて欲しかった顔が、零れんばかりの笑顔で向けられたことで跡部は一瞬固まった。



「どうかした?」


「いや」


「きっと世界の空のどこかには、天空の城って本当にあるんだろうな・・・」


「お前の空想壁には付き合ってらんねーよ」


「ロマンないね。跡部」


「生憎おれは現実主義だ」


「よく言うよ、僕よりうんとロマンチストなのに」


「うっせー」


「クスクス・・・空想の中じゃ、跡部景吾って男はすっごく付き合いいいんだけどな・・・」


「そーゆーのはお前の妄想ってんだよ」


「冷たいなぁ」


「だから俺はこうやって現実でお前に付き合ってるほうがいいんだっつてんだろ」

問答無用とばかりに跡部は不二の頭の後ろに手を乗せて、ぐっと引き寄せてキスをした。





「なんだ、そういうことか」不二はニッコリ微笑んだ。


「そういうことだよ」


「じゃあさ、今度二人で空飛ぼうよ」


「あぁ・・・久しぶりにどっか行くのも悪くねーな」


「スキーがいい」


「なら、カナダあたりか?」


「随分遠くだね、僕は北海道でもいいんだけど・・」


「いいじゃねーか」


「カナダかぁ・・・ま、君と一緒ならどこでもいいや」


「どっちなんだよ」


「え?・・・なんか楽しみができて嬉しいって」


「あぁ、そうか。だったら楽しみにしてろ」


「あぁ」





今度は不二が、跡部にそっと口付けた。

「いつも一緒・・・だね」




「あぁ」






そして、不二はまた綺麗に微笑んで、思いを馳せるように空を見上げたのだった・・・






























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