悩殺モーニン
夏の大会の打ち上げを兼ねて、いつものメンバーは、某所の跡部家別荘へ来ていた。
セキュリティーの行き届いた場所だったため、SPや屋敷守は別棟に下がらせ、
堅苦しさもない中で、束の間の休息を味わおうということだった。
到着した夜は、皆で持ち寄った物を肴にして、ビールやチューハイで、無礼講のどんちゃん騒ぎ。
跡部と不二の間に割って入ろうとするジローに、それを煽る向日。
傍観しながらも、それを楽しむ宍戸に、その場を収めるのに四苦八苦する忍足。
子供がお母さんを取り合いするかの如く、いつになく大人気ない態度で
ジローとやり合う跡部を、不二は楽しげに見つめていたのだった。
大いに笑い、騒ぎ、語り合い、とっぷり夜も更けた頃、
最後まで絡むジローも遅い来る睡魔には勝てず、
突然、頭を殴られたように眠ったところを、宍戸と忍足に両脇を抱えられ、
割り当てられた部屋へと連行され、おひらきとなったのだった。
そして、それを見送った跡部と不二は、最奥の部屋で共に時を過ごした。
翌朝遅く、目覚めた面子がバラバラとホールに顔見せ始めた。
「なぁ、朝メシどうすんの?」向日が忍足に尋ねた。
「え?不二が『任しといて』とか言うてへんかったか?」
「あいつらまだ寝てんじゃねーの?」
「あり得るな〜。跡部のことやから酔った勢いに任せて相当無茶しとるような気がするな。
不二は災難やったかも知れへんわ」
「何も聞こえちゃこなかったけどな」呟く宍戸に
「聞きたかねぇよ!」向日が苦笑いで答えた。
「ええ参考になるかも知れへんで?」茶化す忍足に
「それ、笑えねぇジョーク」宍戸が苦笑いを返した。
「怖いもん見たさっていっても、マジ怖いって」
「まぁな・・・あれで不二がエロ顔で喘いでるのんライブで見てしもたら、
下手したら女では勃たんようになるかも知れへんからな・・・」
「辞めてくれ!マジで完全否定できねぇだけに。怖ぇよ」
三人が顔を見合わせて苦笑っていると、
「おはよ〜」と、眠そうな目をこすりながらジローがやってきた
「珍しいな」と、宍戸が自分から起きてきたジローを見て言った。
「腹減ったーー」ジローはリビングのソファーにひっくり返った。
「をい!ジロー!そのまんま寝るなよ!!」宍戸が言う。
「で?どうすんだよ・・・朝メシ」実は向日も腹ペコだった。
「勝手に俺らでやってもええとは思うけど、結構そういうのんて、気にするやろ?不二」
忍足がキッチンのほうを見やって答える。
「不二はまだ?」ジローあたりを見回して言った。
「聞くだけ野暮だろ?」と宍戸が言う
「俺、起こしてくるよ〜」とジローが2階の跡部たちの部屋へ行こうと動いた。
「あ・・あかん。あいつだけ行かしたら・・何しよるかわからん」
と慌てて忍足がついていく。
「おもしろそ〜」と向日も後を追った
結局全員で二人の部屋の前に勢ぞろいをする。
どうしたものかと顔を見合わせていると
「お〜〜い!おきろぉ〜〜」とジローがドアをバンバンたたきはじめた。
「おいおい・・」と他のメンバーの突っ込みも気にせずそれは続く・・と、
「んだよ!!うっせーな」
突然ドアが開けられ、中から不機嫌オーラ全開の跡部が姿を現した
その姿に一同硬直・・・
パジャマの下だけを履いて、上半身の見事な筋肉質の体を露にしている・・・までは良かったが、
ところどころに不二がつけたと思われる印が散らばっていたのだった。
「跡部ーー不二は??腹減った〜〜」お構いなしにジローが言う
「あ・・・」思い出したかのように跡部が呟いた
「すまんなー。ジローが突然動き出すから止められんかったんや」
と忍足が少しすまなさそうに言う
「いや・・・」いつになく申し訳なさそうに跡部が答えた
「適当に冷蔵庫開けてええんやったら俺らでなんとかしとくけど?」
と忍足が言う。
チラリと部屋の中を振り返った跡部が何か言おうとしたとき
「ごめんね・・・約束してたのに。すぐ用意するよ」と不二がのそのそと
ベッドから起き上がってやってきた・・・
その不二の姿に今度は一同絶句・・・
パジャマの上だけ(明らかに跡部の履いているものの上着)を羽織って、
真ん中のボタンを一つだけ留めて、すらりとした白い綺麗な足を晒し出していた。
眠そうに目に当てられた方の手は大きめの袖口から肘のあたりまで見え、だらんと
たらしたもう一方の手は長い袖丈に隠れていた。
肌けられた胸元や露な鎖骨には跡部が昨夜残したかと思われる所有の印が
所狭しと見えている。
あっけにとられる一同を横切るかのように廊下へ出ようとする不二に、跡部が
「おい・・お前そのまんまで行く気かよ・・・」と声をかけた
「え?」と不二は微笑む
「ボタンくらい留めて行け」
「あ・・ごめん」舌をペロっと出して微笑む不二の可愛らしさに心を奪われ
そうになりながら
(をい・・そのままでいいのかよ)と誰もが心の中で叫んだ時
「留めなくていいからさ〜そのまま俺の部屋行こう!!」とジローが叫んだ
「おい!」と怒鳴る跡部に場は硬直したが、にっこり笑った不二が
「ごめん。ジロちゃん。今はそんな体力残ってないよ」としらっと言った
「俺らは先に下行って待っとくから、着替えて下りといで。ええな」
と忍足が不二に優しく言った。
「あぁ。じゃあそうする」と不二は部屋の中へ戻って行った。
「跡部・・・とりあえず朝メシ先やからな。なんぼなんでもこれから
サカるのは思い留まっといてや」と跡部に軽く釘を刺して
忍足たちはリビングへ戻って行った。
「ったく・・・」と跡部が踝を返すと、不二はもうほどんど着替えを
済ませていた。
シャツのボタンを留めながら跡部の傍に来て、すっとその首の後ろに手をまわした。
「なんだよ」少し驚いた様子の跡部に
「クスクス・・・昨夜はホント激しかったな・・・」と不二が悪戯っぽく笑いかけた。
「どういう意味だ?」
「フフフ・・・凄く良かったよって言いたかったんだけど?」と不二が
小首を傾げて下から跡部を見上げた
「誘ってんのかよ・・・」目を細めて言う跡部に
「忍足に釘刺されてたんじゃなかったっけ?」と不二が答えた。
「お前もつくづくタチ悪りぃな・・・」と跡部は苦笑いした。
「それは跡部だろ?僕が朝食担当って分かってるくせに
絶対起きられないくらいのことしてさ・・・確信犯だね」と不二が笑う。
「今すぐ手が出せねぇって知ってるくせに誘う奴のほうがどうかと思うがな」
跡部の言葉にすっと細く深い蒼い瞳を開いた不二が
「けど。キスくらいはできるだろ?」と艶っぽく答えた。
「その目・・たまんねぇんだけど・・」と言いながら跡部は不二に口付けた。
深く深く貪るように交わされる口付け・・・
不意に不二がすっと体をかわしてにっこり微笑んだ
「お預けって言葉知ってる?今がそれだよ。じゃあ、先に行ってる・・・」
「なんだよ!」歯止めが効かなくなりつつあった自分に苦笑いしながら
そんな自分を翻弄する不二が跡部には心地よかった。
「君も早くね!」と手をひらひらさせながら駆けていく不二の姿をみて
跡部は目を細めて微笑んだ
キッチンで不二の手伝いをしながら忍足が
「ホンマにお前ら朝から刺激強すぎやで」と少し愚痴っぽく言った。
「え?どうして?」とすっとぼける不二
「まさかホンマにあの格好で来る気やったんちゃうやろ?」
「さぁ・・・クスクス」と不二が悪戯っぽく笑った
「やっぱり確信犯やってんな」と言う忍足に
「みんなの期待を裏切っちゃ悪いかなって思っただけだ」と不二が答えた
「あそこまで悩殺ポーズしてくれとは、リクエストしてへんけどな」
「そぉ?気に入らなかった?」
「アホなこと言いな・・・」
「クスクス・・・」
「お前には負けるわ」と忍足が降参ポーズをする
「ジロちゃんで遊べたし、朝から楽しかったよ」
とニッコリ笑う不二を見て
忍足は
(この小悪魔には絶対逆らわんとこ・・)
と密かに強く心に誓ったのだった・・・
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