カミソリ


















氷帝高校男子テニス部、部活の真っ最中。





いつものように、キャーキャーと騒がしい外野を横目に、

ベンチで休憩している不二の隣に、跡部が座った。






「はい」と、不二がタオルを手渡して、跡部のラケットを受け取る。

「あぁ」と、跡部が右手でタオル、左手でさっきまで不二が口にしていた

ドリンクを取り、口にした。





跡部と不二のツーショットに、一際、湧き上がる歓声と、

強く注がれ羨望の眼差し。







「相変わらずだな」微笑んでいる不二に



「人のこと、言えた義理かよ」と跡部が、呆れたように答えた。



「跡部様には敵わない」からかうような不二の言い方に、



「自覚しろっつーの」跡部は、『それは、お前だ』と言い返した。



「フフッ・・・ある意味、こういう時、僕は男でよかったと思うよ」



「はぁ?」



「考えてもみな?もし、これで僕が女の子だったりしたらさ、

毎朝、下駄箱は、カミソリ入りの手紙で溢れ返ってる」と不二が笑った



「怖ぇーこと言うなよ」



「天下の跡部景吾様だからな。命がいくつあっても足りないだろーな」



「お互い様だ」



「僕は違う」



「ばーか。分かってねぇな。お前が女だったら、俺は、世の中の男全部を、敵に回すことになる」



「大げさだな」と不二が吹き出した。



「自覚しろっつてんだろ」



「君は、溺愛癖、強すぎだよ」



「ちげーよ。ったく・・・」



「ほら、行くよ。相手してよ」



「あぁ」



立ち上がる二人を見て、またギャラリーが騒ぎ出す。

不二は、そんな様子が、目にも入らないかのように、コートに入る。

すっと立つ不二の姿に、釘付けになる外野を見て



「ま・・・そんな格好いいとこが、俺は、結構好きなんだけどよ・・」

と、跡部は一人、心の中でニヤリと笑うのだった。





























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