チャンス到来 - 5 -
バカ・・・
目の前の男か
自分か
どちらに向けてでもなく吐いた言葉
その短い言葉を口にしながら、不二の頭の中はものすごい速さで回転していた。
恋人だと?
跡部と自分が?
セックスだと?
天国を見せてやるだと?
跡部のアレを自分に?
しかも事の発端は自分だと?
では何故
自分は跡部の尻拭いをさせられ続けた?
跡部は自分に尻拭いをさせ続けた?
しなくてはいけない行為をしてきたのか?
なぜ?
なぜ?
なぜ?
そして行き当たった一つの結論
それが間違いなのか正解なのかは分からないが
今はそれがそうなのだと不二は思った。
そう・・・
きっと自分は悪い夢をみているんだ
冗談ではない
と
さっきまでのしどろもどろな状態から
ふっと腑に落ちたような顔つきをした不二に
跡部は「ん?」と思ったが
それと同時に、不二はだまったまま踝を返して部屋を出て行ったのだった。
「おいっ」
不二の本意を掴み損ねた跡部が、急に出て行こうとした背に、立ち上がりながらかけた声に
不二が再び振り返ることも、立ち止まることはなかった。
「ったく・・・」ちっと短く舌打ちをして、跡部はどっと力が抜けたように
ソファに腰を下ろした。
久しぶりに、懐かしい不二らしさを見ることができたことが楽しくて
少しばかり調子に乗りすぎたようだ・・・
だが、まぁいい
さっきは何かしらの考えに至っただろうが、
不二のことだ、きっとこのままスルーすることなどできはしないだろう。
「ふんっ・・・
あがけよ。不二・・・
そして堕ちてこい・・・」
さっきの不二とのキスを思い出しながら、天井を見上げ、
跡部は不敵な笑みを浮かべ、心の中で呟いたのだった。
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