青瓷色の華A












「はじめまして、鳳長太郎です」

深々と頭を下げる不二につられるように、長太郎も頭を下げた。


そして、顔を上げ、もう一度不二を見て、長太郎は彼の醸し出す不思議な雰囲気にドキリとした。

肩にかかる薄茶の細い髪は、綺麗なストレートで、まるで絹糸のようだった。

天使のような微笑の向こうに見える瞳は綺麗なブルーで、彼が混血であることを物語っていた。

肌は抜けるように白くて、華奢で折れそうな外見は儚げだった。

が、どこか浮世離れしたような雰囲気に、凛としたところもあって、

長太郎は一目で不二に強く心惹かれたのだった。




一通りの挨拶を終えると、不二はすぐに二人の為にと、

長太郎の祖母と、長太郎に好きな曲を尋ね、ピアノに向かったのだった。






柔らかな笑顔を湛えていた不二が、ピアノに対峙した瞬間に、

まるで人が変わったように引き締まった顔を見せると、すっと瞳を閉じて、

思いを指先に込めるように、鍵盤へと腕を伸ばした。






それはまるで・・・

神が降臨したかと思うような、心揺るがす演奏だった。

おろそしく研ぎ澄まされていて、怖いくらい清らかで、気高くて、泣きそうなくらいに優しく暖かい・・・

聴いている者の心の中から不浄のものが消え去り、次に訪れる無の境地に、

自身が生まれ変わったような錯覚を及ぼすような・・・



そんな演奏だった。





聴きなれたはずの曲が、まったく初めてのように、新鮮に聴こえる。

熟練の有名なピアニスト達の技から感じるそれとはまた違う感動に、二人は心を震わせるのだった。

すっと不二の指先が鍵盤から離れると同時に、二人は立ち上がって拍手を送った。


立ち上がり、二人に向かって深々と不二が頭を下げる。

二人は、その傍に駆け寄って、不二の手を握り、感動と感謝を伝えた。




「素晴らしいわ・・・」

テーブルを囲んでお茶をしながら、長太郎の祖母は心からの感動を述べた。


「ありがとうございます。こんなに喜んで頂けて、何より、僕も嬉しいです」
屈託のない笑顔で不二は答えた。


「感動しました・・・こんな簡単な言葉ではとても上手くお伝えできませんが・・・」

と言う長太郎に



「十分だよ・・・ありがとう」

と、不二ははにかんだように微笑んだ。





















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