変わらぬ想い-3-
新学期初日とあって、新しい配布物や連絡事項等で
その日の学校は午前中のみで終わった。
それぞれその後、帰宅する者やクラブに行く者と、いつもなら担任の挨拶の後、
皆一斉に教室から出て行くはずが、押すな引くなで不二の周りに集まってくる。
おまけにどこから聞きつけたのか、他のクラスや学年の者が1年A組にやってきていた。
「ねぇねぇ。不二さんって、あの青学のテニス部だったんでしょ?」
「一緒に行った手塚君も帰ってきたの?」
「どうしてこっち(氷帝)に来たの?」
「手塚君とはどういう関係?」
「跡部様とはいつから知り合いなの?」
「今付き合ってるやついるのか?」
「クラブはやっぱりテニス?」
ものすごい質問攻めに、不二は戸惑ったまま、答えることも出来ずにいた。
矢継ぎ早の質問に笑顔が完全にフリーズしてしまっている不二を見ていた跡部だったが、
すくっと立ち上がると、不二を取り囲む連中を鋭く睨みつけた。
「うるせぇ!・・・ったく、どいつもこいつも・・・
オラ・・行くぞ!」
凄まじい形相の跡部の一喝で当たりは静寂がよみがえり、
その間に跡部は、不二のカバンと手をとって忍足に目で合図を送り、教室を後にした。
廊下を歩いていても、玄関ホールのロッカーのところでも、跡部目当ての女子に
不二目当ての男子が集まって、ワーワーキャーキャーと騒々しく、
跡部は眉間に思いっ切り皺を寄せながら絶大な不機嫌オーラを放ちつつ
不二の手を引いてずんずんと歩き進んで行った。
少し後をついてくる忍足に、不二は助けを求めるような目線を送ったが、
忍足は苦笑いを返すだけだった。
「ったく・・・冗談じゃねーぜ」
「ちょ・・ちょっと・・景吾・・」
「うっせー、今俺に話しかけるな!」
「だ・・・だって・・・僕・・・これから女テニに・・」
「今日はやめとけ!こんな状態でいけるわけねぇだろ!バカ!」
「うぅ・・・・」
「とにかくとっと歩け!」
そう言ってから忍足の方へ視線をやり
「頼むぜ」
と一言だけ言った。
「あぁ。任せとき、女テニも話しとくから、今日のとこは跡部の言う事聞いときな。不二」
と言ってから、くるりと方向を変えて歩きさって行った。
なんとか騒々しい連中を振り切って、二人きりになってから、跡部はさっと手を離して
不二のペースに歩みを合わせて歩きだした。
離された手の寂しさに一瞬はっとした不二だったが、自分の歩くペースに合わせながら
ゆっくり歩く跡部の顔を見上げて、そこから下ろされる柔らかな視線にほっとした。
車が迎えにくるまで・・と最寄の公園のベンチに二人は並んで腰をかけた
「ったく・・・何考えてんだよ。。」と跡部が呆れたように言った
「景吾を驚かそうと思って・・・」
「はぁ?」
「景吾驚いて、喜んでくれるかなって思って・・・」
「はぁ・・・・っ」跡部は盛大な溜息をついてから、隣で俯いている不二に向かって言った
「お前さ・・・驚く前に俺が怒るとか思わなかったのかよ・・」
「えっ・・・・景吾・・・怒ってるの?」
「怒ってねぇ・・・・っつーか・・・・怒る気も失せちまったけどよ・・・」
「僕・・・凄く景吾に会いたくって・・・だから・・・だから・・・」
そういいながら不二の声は震えて小さくなっていった。
「昨日・・・帰ってきたって・・・か?」
「ん・・・いろいろあって、向こうを発つのがほんとのギリギリになっちゃってね。
着いたのが遅かったんだ。疲れてたのもあって、空港のホテルにとりあえず泊まったんだ。
朝うちへ寄って、姉さんに送ってもらったの。
今頃きっと荷物が届いて母さん達がいろいろやってくれてるはず・・・」
「そぉか・・」と言って跡部が不二の頭をクシャとした時、丁度車が迎えにやってきた。
ブラウザの「戻る」でbackしてください