変わらぬ想い-1-
「ほんま・・・お前らのお陰で退屈せんかったわ」
卒業式を前に、跡部の部屋に皆で集まって、わいわい賑やかにやっている最中。
跡部と将棋を指していた忍足が、駒を眺めながらポツリと呟いた。
「マジ。楽しませてもらったよな!」ジローとゲームで対戦をしていたはずの向日が、
耳ざとくそれを聞いて、話に入ってきた。
「うん。うん。なんかさ、ドラマみたいなこととかあって、すっげー楽しかったよ」
画面を見たまま、手元で器用にコントローラーを操作しながら、ジローもそれに加わり、
楽しそうに言った。
「ある意味浮世ばなれしてたよな」
一人、黙々と、パソコンでマージャンをしていた宍戸が、一度手を止めて、それに続いた。
確かにそうだった・・・と思いつつも、みなの意識の注目を受け、一瞬の沈黙の後、
どこか気まずいような、気恥ずかしいような気がして、居た堪れなくなったように
「うっせーよ」と、跡部が言った時、
正に、絶妙の助け舟の如くのタイミングで、ドアが開かれ、
「お待たせ、お茶が入ったよ」と、キラキラとした笑顔で、不二が部屋に入ってきた。
「あぁ・・・早かったな」跡部は、そう言って立ち上がると、トレイを手にしている不二に手を差し伸べた。
愛しそうに不二を見つめる跡部に、そんな跡部を幸せそうに見つめる不二。
二人の醸し出す甘ったるいオーラが、たちまち部屋中に充満していく・・・
最近では、それに円熟さが加わってきてるようにさえ感じられ、
慣れっことなってしまっている面子には、そんな跡部が垣間見せる姿に、
人間らしさを感じ、ほっとさせれれるのだった。
「もぉ、すっかりできあがってるやん。自分ら・・・」と忍足が言う。
「え?何が?」不二は跡部から視線をはずすと、忍足の方を、小首をかしげて見た。
「いつ夫婦やゆーても、おかしないっちゅーこっちゃ」ニヤリと笑って忍足が言った。
「もぉ・・・何言ってんのよ・・・」と不二は真っ赤な顔をして照れる。
跡部は、そんなやり取りを、穏やかな表情で黙って見ていた。
恥らうように跡部に寄り添いながら、中央のテーブルにティーセットを広げていく。
いつまで経っても、初々しさを漂わせる不二は、成長し、女性らしい美しさに磨きをかけながらも、
少女のようなあどけなさも失うことなく、愛らしく、可愛かった。
「式には呼んでくれよな!!跡部のって、芸能人よりすごそうだからな!」
と向日が、ゲームを終えて、ソファーに向かいながら言った。
「凄いかどうかは分からないけど、絶対来てよね」と言う不二に
「オレも!オレも〜」と他のメンバーが集まりながら、口にした。
「テメーらなぁ・・・」と言いかけた跡部に
「で?いつの予定なん?」と忍足が尋ねた。
「秋だ」と言った跡部に
「景吾のお誕生日だよ」と不二が続いた。
「そおか・・・」と言ってから忍足が
「ほんま・・思い出すわ。お前が俺らのクラスに来た時のこと・・・」としみじみ言った。
「大騒ぎだったよな」宍戸の言葉に皆が頷いた・・・
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