なんだかな・・・
「はぁ・・・っ」
万事屋の片隅、朝から新八の様子がおかしかった。
どこか上の空で、何度目ともいえぬため息をこぼしていたのだった・・・
理由は簡単。
昨夜、やってきた桂だった。
自分の知らない銀時のことを知っている桂。
その桂と空気のように話をする銀時。
自分の居場所を取られてしまったような気がして、一人寂しくなってしまっていたのだった。
「おい、新八」
「ん?何ですか?」
「何ですかじゃねぇだろ。朝っぱらから、魂抜けたテルテル坊主みたいな面しやがって」
「魂抜けたテルテル・・・ってね。銀さん、テルテル坊主に魂があるわけないじゃないですか」
「え?だったら、ありゃなんだ?」
「え?」
「えっ・・・え・・・え゛ーーーーっ!」
顎で杓って銀時が目線を送った先にあるものを見て、新八は声を上げた。
万事屋の屋根から、神楽がロープで縛ったエリザベスを吊り下げていたのだった。
じゃれあってるのか、揉み合ってるのか分からないが、定春とエリザベスのやり取りを見て、
『明日、帰って来い』と桂がエリザベスだけを残して行ったのだった。
「なっ!何やってんですか!!」
慌ててベランダから覗き、見上げると、
「よぉー。新八。魂戻ったアルか?」と神楽が手を振って声をかけてきた。
「神楽ちゃん!」
「あ?こいつか?気にすることナイネ。そのうち静かになるヨ!」
「死んじまうでしょーが!」仮ににも、預かりものですよ!
とっとと放して下さい・・・ため息交じりの新八の呟きに
「案外シャイアルね」と言いながら神楽はエリザベスを引き上げたのだった。
「シャイとか全然関係ないし・・・」頭を抱えた新八は、そう言ってまた、
ため息をついたのだった。
「おい、神楽、そいつを飼い主に返してこい」
銀時が降りてきた神楽に言った。
「え?面倒臭いアルよ。吊り下げとけば見つけるヨ」
「いいから、行ってこい。ついでに定春の散歩もだ」
「えーーっ、腹減るヨー」
「途中で、マダオでも見つけて、タカってきやがれ」
「マダオか・・・」
「公園寄ってくりゃ、ベンチにでも座ってんだろー」
「そうアルね!」
じゃぁ行ってくるアル!と、2頭(?)の大きなペット(?)を
連れて、神楽は元気に出かけて行った。
『あーぁ。散歩っつーより、市中引き回しって感じだな』
グエグエ言ってるエリザベスを引きずるように去っていく神楽を見ながら
銀時は心の中で呟いたのだった。
「で?」
と、今度は改めて、新八の方を見た。
「何拗ねてんだよ!」
「拗ねてやしませんっ」
「そーゆーのが拗ねてるってんだ。ったく」
「放っておいて下さい」
「うるせぇ、構ってくれオーラだしまくりで、支離滅裂なこと言ってんじゃねーよ」
「そんなオーラなんか出しちゃいませ・・・」
声を荒げて振り返った新八を、銀時はさっと抱き上げた。
「何ですか!」
「素直じゃねぇよな」
「下ろして下さい!」
ドスンっ!
銀時の足元で、新八がひっくり返っていた。
「痛いじゃないですか!!」ずれた眼鏡の向こうの目で新八は銀時をにらみつけた。
「下ろせっつーからさ」
「そうは言ったけど、落とせとは言ってないでしょーが!」
イテテ・・・と腰を摩りながら立ち上がる新八を、銀時は再びさっと抱き上げた。
「え?」という顔をする新八にお構いなしに、銀時はそのままソファのところまで
やってくると、新八をそこへ放り投げて、さっと組み敷いた。
「な・・・」
いつになく、真剣な目で見つめられて、新八は口ごもった。
「しょーがねぇな。体に聞くか」銀時は新八の袴の上から、ぎゅっと新八自身を掴んだ。
「ちょっ・・・銀さんっ・・・」
身じろぐ新八を組み敷いたまま、銀時はその手を揉みながら、徐々に芯をもっていく
それを楽しんでいるかのようだった。
「こっちは素直だよな」
「もっ・・・やめっん・・・」
銀時は新八の口を自分のそれで塞いで、愛撫を続けた。
徐々に翻弄され、新八は上気した顔をしながら、わけが分からなくなっていく。
着ているものを剥がされて、優しく蕩けるように愛撫を施され、
支配されるように突き上げられ、新八は声を上げて、縋るように銀時にしがみついたのだった。
「・・・妬けるなぁって・・・思ったんですよ」
情事の後、綺麗に身を整えてもらい、くったりとソファに身を沈めた新八は、
自分の頭の横に、腰を下ろして天井を見つめたままの銀時に語りかけるように呟いた。
「バーカ」
それだけ言って、銀時は新八のデコをちょんとこついた。
「・・・ですねぇ」
新八は苦笑いを浮かべて呟いた。
「らしくねぇこと言ってんじゃねぇよ」
「ですかね」
「俺は、万事屋の銀さん。それだけだ」
「銀さん・・・」
「まぁ、もれなく高血糖もついてくるってやつだけどな」
「ぷっ・・・」
「ふんっ・・・やっと笑ったな」
「はい・・・」
「それでいいじゃねぇか」
「・・・ですね」
「あぁ」
優しい目で見下ろす銀時に、新八は『僕もまだまだですね・・・』
と心の中で呟いたのだった。
ゆっくりと降りてくる銀時の顔に、新八は瞳を閉じると
もう一度、優しいキスを受け止めたのだった。
万事屋バカップル、
今日もなんだかなぁ・・・なひとときなのでした。
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